調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 2章(1)-8

(1)サプライヤー工場生産復旧までの遠い道のり

【解説】

今回の震災後、平常時と異なる環境が、集中と分散のセオリーを大きく揺るがしました。中核素材が、二次・三次の特定サプライヤー数社に集中しており、被害も集中化してしまいました。二次サプライヤーの被災、供給停止は、これまでの集中か分散かといった議論が、いかに平常時のみを想定していたものであったかを思い知らせます。また、一社集中における単一サプライヤーとの望まない依存関係、通常はリスクと捉えられるこの依存関係が、ビジネスライクな複数社との関係よりも、震災後に供給優先度を高める要因となることもわかりました。震災発生からの時の経過と共に、企業は業務再開を求めます。しかし、サプライチェーン全体での供給力は、震災の被害で確実に下がっています。震災直後に他に先んじてその供給力を回復するためには、普段以上の時間や力を費やさなければなりません。どの自社顧客にも変わらずに良い顔はできません。必ず、自社の顧客のなかでの優先順位を設定しなければならない瞬間がやってきます。その優先順位を考える上でも、ゼロベースで考えはじめる必要があるのです。

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