調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 1章(3)-1

3月18日。当週から各社の生産ストップの発表が相次いでいた。日本の代表的産業である自動車産業では、トヨタ自動車がグループ会社を含む国内完成車工場の22日までの停止を決めた。日産自動車は栃木工場、追浜工場、日産車体、横浜工場は20日まで生産を停止し、いわき工場は復旧に時間がかかる見通しを述べた。自動車部品メーカー他社も同様だった。ものづくりの企業だけではない。製薬業界大手のアステラス製薬や塩野義製薬、第一三共も生産の一部停止、あるいは設備の損傷を発表した。

また、震災の影響は日本企業にとどまらなかった。米ゼネラル・モーターズのマーク・ルイス北米担当社長は「日本からの部品調達網の混乱が米自動車産業にどれほどの影響を及ぼすのか、まだ誰も分からない」と指摘した。韓国や中国の企業も同様の懸念を発表した。特に、中間材と呼ばれる日本の電子・電気部品は世界中の製品に組み込まれており、グローバル化した複雑化なサプライチェーンにおいては、一国の災害は山火事のように世界に広がっていく。京セラでは有機材料を製造する京セラケミカル郡山工場と、水晶部品を手掛ける京セラキンセキ山形は生産を停止すると発表した。回路部品を生産する日本電産コパルでは田尻事業所が休業した。村田製作所では、機能性高分子コンデンサの製造拠点の村田製作所小山工場を操業停止した。もちろん、各社とも操業復旧の目処も同時に発表していたものの、いつから正常化するのかは誰にも読めなかった。

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