調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 1章(3)-2

多くのバイヤーたちが引き続き、サプライヤーの生産状況をヒアリングしていた。多くの企業で情報は錯綜し、かつ日々上書きされていた。ただし、バイヤーたちは主要サプライヤーだけではなく、調査の幅をその全域にまで広げていた。西城は14日時点で20社の状況をヒアリングしており、18日には106社の状況を確認するにいたった。

ただし、ここで西城を悩ませる障害が三つあった。

一つ目は、商社経由で調達していた物品のことだ。商社経由であればリスク管理を含めて商社に委託していることが多い。もちろん製品のティア1サプライヤー程度であれば生産地も把握しているものの、それ以下は手付かずだった。当初「問題なし」と報告していた商社がたくさんあった。しかし、翌日には「一部問題あり」と訂正される。ティア2、ティア3のことは任せるしかない。ただ、商社経由の情報の信憑性すらわからない。

このころ外村は、商社によって対応が異なることに気づいていた。商社によっては、細かな情報を逐一提示してくれるところもある。しかしそのいっぽうで、違う商社は震災から1週間も経っているのに「現状把握中」のままだ。これまで、サプライヤーマネジメントとは、バイヤー企業とサプライヤー間での言葉だった。しかし、バイヤーが把握しておくべきサプライヤーマネジメントとは、商社とメーカー間のそれではないか。QCD管理を一任する先としての商社の機能を見直す機会になった、と外村は思った。

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