調達業務のリスクマネジメント~東日本大震災の教訓 1章(3)-12

もう一つ、震災直後に必要なもの、それは「お金」です。バイヤーはサプライヤーと契約した条件に基づいて購入代金の支払いを行なっています。普段はバイヤーが意識せずとも仕組にそって支払われているはずです。この普段意識してないことを、震災後という非常時に意識することは困難かもしれません。円滑に復旧活動をスタートさせるにも、いつも通りの対応=予定通りにサプライヤーへ支払われることを、まず確認することが重要です。仕組が正常に動くかどうかだけを確認すればいいのです。支払いに関する情報収集と確認も他と同時並行して行ないましょう。

帝国データバンクの「特別企画: 「東日本大震災関連倒産」の動向調査(2011年5月6日)」によると、4月末時点で既に66社もの企業が震災影響によって倒産したと報告されています。またその影響は、直接的に大きな被害を受けた東北地方だけではありません。全国に広がっています。直接的な震災被害による倒産は6社で、残りの60社は間接被害が原因です。間接被害とは、

1.債権回収が困難

2.受注の見通しが立たない

3.原材料調達の目処がたたない

といった内容です。1~3の内容ですが、すべてバイヤーに関係していますね。バイヤー企業として被災の度合いによっては、支払いどころではないかもしれません。本章では情報収集を起点としてバイヤーとしてどうすべきかを述べてきました。それは、震災からどのように復旧するかというこれからの話です。同じように既にサプライヤーが責任を果たした=納入した震災前のビジネスへの配慮も忘れてはなりません。今回の震災は月半ばの発生でした。これが月の後半であった場合は、円滑な購入代金支払い可否の重要性が増すことになります。震災発生当日に日銀から発表された談話「流動性供給で万全を期す」にも、その重要性が表れています。

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