4章-20:取引先管理

「財務上の限界売掛金」:直感的な意味では、資金負担にたいし、その会社が耐えうる金額を示したものです。下にある、理論上の(a)限界売掛金に、(b)許容依存度をかけて計算します。

(a)限界売掛金:(4×月間売上原価+最大仕入債務-棚卸資産)÷原価率
↑月間原価の4倍が苦しい基準。仕入債務は実質上限界売掛金を伸ばす。逆に棚卸資産は資金を寝かすことになり限界売掛金を下げる

(b)許容依存度:普通の企業は10%、優良企業は20%を使う

たとえば、年間売上高12億円の取引先があったとしましょう。すると毎月の売上高は1億円です。さらに、仕入債務が5000万円だとします。さらに、棚卸資産はおなじく5000万円だとしましょう。また原価率は80%とします。すると、次の計算式となります。

(4×1億円×80%+5000万円-5000万円)÷80%

=3億2000万円÷80%=4億円

これに許容依存度の10%をかけるのですから、4億円×10%=4000万円

これが月間の発注上限額となります。ここで、直感的に考えてみましょう。もともと「(4×月間売上原価+最大仕入債務-棚卸資産)÷原価率」という式でしたが、あえて単純化して「(4×月間売上原価)÷原価率」として考えてみます。売上原価を原価率で割るわけですから、これは売上高に近似します。さらに×4なので、最大でも、4ヶ月分相当の仕事を引き受けることはなんとか可能だろう、という意味になります。

ただ、この4ヶ月分を、一社から受注するわけではありません。あくまでも、この取引先にとって、全社での最大の受注額です。そこで、自社にとって、その取引先に、どれくらい任せるのが最大か計算します。そのために、その金額に10~20%の掛け算をします。これは、文字通り、取引先にとって、その最大の売上高のうち、何パーセントまでならば依存できるかの数となります。相手の最高売上高の10%ていどに留めるのが通常の意味です。

ところで、この10%~20%というのは、聞くひとによって、さまざまな感想をもたらします。「売上高の10%~20%が上限なら、ほとんどの取引先は上限を突破しているじゃないか。取引先のほとんどは80%~90%くらいいっている」、とか、あるいは「10%~20%ならば、それは感覚値と合う」ひとまでさまざまです。

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