1章-16:インフラ系調達・購買の基礎知識
このように、調達・購買活動は、一般的にはコスト削減でしか評価されません。ならびに、コスト削減といっても、前年の調達品価格を訴求して値引きする場合は多くありませんから、損益計算書への影響といっても、フィクショナルな数字です。それはやむをえません。
昨年100円で買っていたとして、できた決算書を95円で買いなおせば、損益計算書への影響は明確でしょう。しかし、通常は、その都度、その都度、95円になるように努力するわけですから、結果は95円です。100円で調達した現実はありません。これが調達業務を通じて自社の経営成績に影響を与えている事実を分かりにくくしている“不都合な事実”です。
ただし、自分がやっている業務はこれだけ意味があるんだと理解しておいてください。なぜならば、全社の支出の門番をしている調達・購買部員の業務が、損益計算書や貸借対照表に無縁なはずがないからです。管理職は、コスト交渉だけではない、調達担当者の広い業務を評価することが求められています。