4章-21:取引先管理

しかし、ここは冷静に考えて見ると、売上高の80%~90%を読者の会社だけに依存しているのは、相当な一点賭け経営です。すなわち、読者の会社から発注がなくなったらすぐさま倒産してしまうわけです。もちろん運命共同体としては素晴らしいといえませ。

ただ、私はいくつかの会社を設立してきましたが、10%~20%はさほどおかしな数字とは思いません。やはり、一つの企業から仕事をもらいすぎると、その安定性について不安になるためです。

なお、補足しておきます。

1.この10%というのは、会計上の理由があります。上場企業は、予定売上高の10%を超える下落があった際に株主報告を求められます。企業価値が大きく損なわれると判断できるからです。ですので、やや強引ですが、ある企業に売上の10%超を依存しているのは、調達担当者に首根っこを押さえられたようなものです。本気になれば、その調達担当者は、10%をそぎ取ることができます。よって10%とは一つの基準値になりえます。

ここでは、販売先として自分たちの売上の10%を超えないほうがいい、という話をしました。ただ、実際は、調達先として10%以上を依存させないほうがいい、という話です。

2.また、勝手に月間売上高の4倍が最大値、と仮定しました。しかし、これは荒唐無稽な数字ではありません。月間商いの4倍程度は、現金をもっておきましょう、というのは経営の目安だからです。

とはいえ、「普通の企業は10%、優良企業は20%を使う」と書いたものの、どの企業が10%で、どの企業が20%なのか判断に苦しむケースがあります。そのときには、実際に、取引先の貸借対照表と損益計算書を使って、その企業の安定性を見てみましょう。

具体的には、「損益計算書の売上高」と「貸借対照表の現金及び預金」の欄を使います。●「損益計算書の売上高」÷12

  • 「貸借対照表の現金及び預金」

これを比較した際に、「貸借対照表の現金及び預金」が「損益計算書の売上高」÷12の4倍あるのが理想です。可能なら、せめて3倍ほしいところです。1を切っていたら問題です。というのも、1を切っているという意味は、主要取引先から金払いが滞ってしまったら、一ヶ月もたないのですからね。

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