2章-13:インフラ系調達・購買のコスト分析

単純作業への処方箋

なお、先ほど申し上げた通り、少額品が全体のコスト削減にほとんど寄与していないとわかった場合、どうすればいいでしょうか。その際、おもに三つの方向性があります。

  • 一つ目は、価格交渉自体を割り切って考えることです。もっといえば、価格交渉せずに伝票を右から左に流すだけだと、それはたしかに効率的かもしれません。ただし、とはいえ、難しいのは、取引先が「どんな金額でも承認してくれる」と思えば本来の価格の+5%~+10%などと値上げされた見積書を提示してきます。意図的ではなくても、中長期的にはコストを安くはしません。
    もちろん、そうであっても無視する覚悟もありえます。ただし、すべてを価格交渉しないのではなく、ある一定率で、抜き打ちによる価格査定するなどの方法が考えられます。
  • そして二つ目に、取引先からの価格根拠が妥当であれば、それを深追いしない方法です。これは少額品の場合は、たとえば「以前の納入単価と同じだ」とか、あるいは「類似品と同じだ」とか、または「市中価格と同じだ」といったていどでかまわないので、見積書をもらうタイミングでヒアリングするのです。一言でいいので、その合理性が認められれば、それ以上は信頼をベースに承認します。
    もちろん、自分で納入実績を見て承認してしまっても良いでしょう。すくなくとも取引先に聞いて承認する場合は、抜き打ち検査をすることです。そうすると、「ちゃんと見ているんだな」と取引先に思わせることができます。
  • 三つ目は、その低価格品の発注行為等そのものを外注化してしまうことです。外注化ビジネスプロセスアウトソーシングと呼ばれるBPO業者を使っても構いませんし、あるいは関係会社の力を借りて、シェアードサービスセンター(グループ会社間の業務統括企業)を活用することもあるでしょう。
    実際に私が手がけたコンサルティング顧客の事例では、3万円以下の発注が手間はかかる割にはコスト削減に寄与していないとわかり、そのすべてを外部に委託する戦略としました。

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