2章-10:インフラ系調達・購買のコスト分析

依存度分析

なお、取引先が、自社に依存している度合いをどのように見ればいいでしょうか。

ずばり、依存度といいます。直感的にいえば、その取引先への発注額を分子において、分母にはその取引先の全売上高を置きます。期間としては年間で計算すれば良いでしょう。そうすると、文字通り、どれほど依存しているかがわかります。一般的には、依存が高すぎるほど「あやうい関係」です。取引先は、自社がもし倒産してしまうと、運命共同体的な状況に置かれているからです。

経営側の考えとしては、もし主要取引先が傾いてしまっても、盤石な経営を実現するのがふさわしいといえます。できるだけ分散したほうが、リスクヘッジになります。金融の世界では「タマゴをおなじ籠に盛るな」といいます。カゴが崩壊してしまうと、すべてのタマゴが割れてしまうためです。ですから、特定銘柄への投資でけではなく、複数銘柄、債権、海外へと分散投資がふさわしいとされます。

ただ、いうのは簡単です。実際には、特定の企業のみとつきあっているほうが効率的ではあります。考えてみれば、取引先からすると、一つの企業だけとつきあっていれば、やり方も熟練できますし、「あうんの呼吸」でコミュニケーションが可能です。

その妥協点はどこにあるのでしょうか。私は、依存度の境界線を、10%としています。たとえば、10億円の売上高があれば、特定顧客は1億円の売上高が最大という意味です。売上高の10%を握られている顧客がいて、しかし、10%なので、その売上高がなくなっても、死にはしない、というレベルです。

これは逆にいえば、10%の首根っこを捕まえている意味で、死にはしないが、たいへんな痛手だとはいえます。さらに上場企業の開示基準で売上の10%が変動する場合は、ただちに株主に連絡せよとなっています。それだけ10%の売上をもつ意味は大きいといえます。

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