5章-15:仕組み・組織体制

調達実行主体の違いによるメリットとデメリットは次のとおりです。

  • 「各拠点」

メリット:各拠点に点在する現業部門の意向を把握することができるため、きめ細かな発注が可能となります。

デメリット:都度、発注をするために、非効率的です。各取引先が、各拠点に納品する場合は、物流効率も阻害します。

  • 「本社(あるいは他の一箇所)」

メリット:全拠点をまとめて発注するため、効率性が上がり、省人化できます。またそれはコストメリットにつながります。

デメリット:各拠点の現業部門とは切り離された発注となるため、やや遅れがあったり、まとめるまで時間があったりすると、納期遅延の問題が生じます。

発注品の違いによるメリットとデメリットは次のとおりです。

  • 「統合しない」

メリット:各拠点それぞれのユニークな技術仕様が可能です。

デメリット:製品種類がばらばらになり管理工数が多大になります。また、コスト交渉の観点からは、量がまとまらないため、割高になりがちです。

  • 「統合」

メリット:量をまとめることが可能であるため、代表交渉時には価格を低減しやすくなります。また管理工数の低減が期待できます。在庫の低減にも寄与します。

デメリット:特定の部材しか使用できないため、特徴を表現しにくくなります。

また、重要なのは、客先の声です。技術部門にいると、とにかく客の声を無視して、よいものを作りがちです。これは悪い意味ではなく、人間の宿痾です。しかし、自分自身がユーザーのときを考えてみましょう。iPhoneなどがいい例です。細かな仕様はいいとして、なによりも、iPhoneユーザーとして感じるのはサクサク動くことです。直感的に使用できることです。細かなこだわりがあるというよりも、他のスマホのほうが仕様は優れている場合もあるものの、あまり気になりません。ユーザーが何を気にしているのかこそ、供給者として重要です。

だから集中購買の実施観点としては、「けっきょく、これって客として重要か」という基本的な観点がもっとも重宝すべきです。

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