4章-2:取引先管理
しかし、彼らが、何かにとりつかれていることだけは理解できました。
私は、皮肉ではなく、金融は立派な仕事だと考えています。もし差別的な感情をもつならば、それは現代にそぐいません。
しかし、私は彼らの発言の端々に出てくるギャンブル的な仕事の話題に、埋めようのない懸隔の欠片を見ました。「現場でドロドロした環境に身を置くのって、楽しいけどねえ」という私の感想は、あっさりと流されていきました。たぶん、そんな仕事よりも、こっちのほうが儲かるぞ、という彼らの自負があったにちがいありません。
ありがとう、楽しかった。
そういった私は一次会でお金を置いて、一人、違う店へ逃げ出しました。
そこで一人で飲んでいると、なんだか目眩がしてきました。この文章の読者は、比較的、私と近い業界に身を置いていると思います。別に、自分の仕事を下卑たり、後悔したりはしていませんが、つくづく、あったはずの人生について思いを巡らせました。
私は、きっと、旧友たちを思い出しながら、おそらく、もう彼らと会うことはないのではないかと、ずっと思いつめていました。
淋しかった、と思います。