4章-17:取引先管理

経営アンケート

協力会設置の有無は別としても、協力会社を管理する観点からは、定期的にアンケートを取ることが有効です。とくにインフラ系企業の場合、社員全体の加齢が進み、事業継承が問題となっています。赤字ではなく、黒字でも、やむなく廃業する場合もあります。よって、社員の構成などを訊くのが欠かせません。

・社員の年齢別人員数(事務、技術、管理)、ならびに昨年比

・採用計画

・派遣、パート、アルバイト数(事務、技術、管理)

・代表者の年齢、後継者の有無

・経営の主要課題

・設備導入計画

これらを定期的に送付し、回答を入手します。

問題がありそうな取引先とは、おなじく定期的に面談を行います。しかしやっかいなのが、後継者がいない、というときに解決策がない点です。

調達・購買部員としても、次のていどは知っておいてください。まず創業者が後継者を探そうとします。しかし、ご子息はなかなか継ぐことができません。というのも銀行の個人保証を何億円も背負わなければならないからです。ご子息の奥様が反対します。

さらに、ご子息が、その取引先のなかで活躍しているならば別です。違う会社で勤めている場合は、もっと複雑化します。くわえてややこしいのは、多くの取引先は非上場企業ですが、創業者の保有株を買い取ろうとしても、そんなお金を有しない場合がほとんどです。

では、創業者の右腕として活躍してきた副社長はどうでしょうか。おなじく、奥様が反対します。「社長になるのは嬉しいけれど、その代りに、銀行の個人保証を何億円分も背負ってしまうなんて信じられない」というわけです。

そうこうしているうちに創業者が死んでしまうと、ご子息はやむなく、株式の売却を考えます。ただ、現在では、多くの非上場株式は、取締役会の承認がないと売れませんから、ご子息としても、どうしようもありません。

さらに、ご子息が外部の企業に株式を売ろうとすれば、副社長がやってきて、「売却なさるんであれば、取締役は全員で辞職させていただきます」と迫るのです。そうすれば、会社として体をなしませんので、ご子息は断念せざるを得ません。

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