5章-16:仕組み・組織体制
実効的な集中購買にむけて
私の尊敬する大前研一さんは「実行なきものに、実効は伴わない」と卓見を述べました。机上の空論ではなく、実務の最果てのような調達・購買業務に関しては、なによりも、理屈よりも実行が重要です。
集中購買の理屈を何回語るよりも、実際に、量をまとめて交渉することが大切です。では、実効的な集中購買とはなんでしょうか。あえて極端な二例を考えてみます。
- 本社が主導して交渉する集中購買
- 最大調達拠点が主導して交渉する集中購買
この二つしかないわけではありませんが、私は間違いなく後者を勧めます。なぜか。前者は、どうしても細かな事情がわからないために、皮相的な交渉になりがちです。いくらに下げなければならないのか。そのリアルも欠如しています。
しかし、後者は誰にとってもメリットがあります。最大調達拠点は、ほとんどの場合、もっとも安価に買っています。その状況で、少しでも調達量が増えれば、自分たちの交渉前提量が増えるので歓迎します。さらに、他の拠点からしても、自分たちが何もせずとも、最大調達拠点の価格で調達できるわけですから、あいのりするインセンティブが生まれます。