2章-3:インフラ系調達・購買のコスト分析
(1)調達・外注分類とABC分析
まず支出分析という意味から、見たくない現実を見ていきましょう。
ここでの目的は、どんなものに支出しているかを見える化することです。そして、重点的に管理すべき領域を決めることです。
ところで、意外なことにインフラ企業の多くは、この見える化ができていません。事業部や支店がわかれており、それを統合的に管理できない、といった理由だけではありません。発注情報のデータベースがめちゃくちゃなのです。とくに問題は、モノの調達の際に顕著です。
たとえば、大量生産の製造業であれば、あるていど調達するものが絞られます。たとえば、部品Aがあれば、部材コードが採番されるため、その部材コードで検索すれば調達数量や支出金額がわかります。ただしインフラ系企業は、単発での発注であり、繰り返し発注が見込めない、あるいはリピート発注がいつになるのかわからないため、部材コードが採番されません。
すると、発注内容欄にその都度、現場の担当者が手入力で品名などをインプットします。そうなると、まったく同じものを過去に調達していたとしても、仕様の記載順番が統一されにくいため、データベースがめちゃくちゃになっていきます。
もちろん、各社とも注文時の記載ルールについて現場担当者に指導啓蒙しています。しかし、現場担当者が完璧ではなかったり、あるいは、記載ルールが定められていない品目があったりして、なかなか各社ともうまくいっていないのが状況です。
そこで、インフラ系企業に勤める調達・購買担当者は、まず支出データをダウンロードするだけではなく、その支出データの一つひとつが何なのか、ラベリングからはじめなければなりません。