3章-17:コスト削減

(3)価格交渉

次に価格交渉の手法に移りたいところですが、重要なのは、その以前に社内関係者に要件をヒアリングすることです。要件とは価格交渉に臨むにあたって、どこを死守せねばならず、そしてどこだったら譲歩できるか、その基準です。

工事仕様書や開発仕様書、あるいは図面を受け取っているから、それさえ見れば大丈夫だと言うかもしれません。ただし、それらに書かれたものは、あくまでも皮相的な要件です。現場の真なる要件を表現しているとは言えません。そこでいわゆる「ほんとうのところ、どうなの」とヒアリングする必要があるのです。

私はコンサルティングの現場で、次を口癖にしてくださいと言っています。

「XXではなく、○○でもなく、なぜ□□ですか?」

たとえば、現場から出てきた要件に、「部材を2月までに搬入すること」と記載があったとします。先ほどの口癖に当てはめれば、「1月ではなく、3月でもなく、なぜ2月に搬入する必要がありますか」となります。そうすると「現場での試験が3月第2週から始まるため、念のために2月までの搬入を依頼していた」などと、明らかになるかもしれません。それならば、取引先には、もちろん2月までに搬入いただきたいものの、どうしても難しい場合は、3月の第1週までに納品してくれればいいと譲歩案を導けます。

これはあくまでも搬入を例にしましたが、重要な項目に関しては、この口癖でヒアリングをしておくべきです。とはいえ、すべての案件でこういったヒアリングは時間的に難しいかもしれません。しかしながら、高額な案件であれば、ヒアリングする価値があるでしょう。

取引先にとっては、あなたは調達部門の代表ではなく、会社の代表です。会社全体としてどのような条件がギリギリなのか把握しておくべきだからです。

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