2章-12:インフラ系調達・購買のコスト分析

さらにその次に、それぞれの注文カテゴリーで、どれくらいのコスト削減ができたのかを見てみましょう。年間で、その金額領域で実現できたコスト削減額を集計してみましょう。さらに、そのコスト削減が全体に対するどれくらいの寄与度だったのかも見ていきましょう。

小額のものが時間も取られているし、さらにコスト削減の寄与度もほとんどなかったとすれば、それは省略、あるいは手間をさほどかけない対象となりうるでしょう。もっとも少額品のみ担当している人は、自分の業務をすべて省略することはできないかもしれません。ただ少なくとも、優先順位を考える時に高額品が全体のコスト削減の多数を占め、しかしながらなかなか力をかけることができない業務配分になっている場合は、見直す価値や意味はかなりあります。

たとえば、図の例でいえば、注目いただきたいのは、コスト削減率です。コスト削減率でいえば、少額品のコスト削減率が高いとわかります。もっとも高額のカテゴリーは2.2%にたいして、1円~の少額品は3%台です。

しかし、これは典型的な「率を見て額を見ない」病理です。寄与度を見てください。そうすると、コスト削減額としては、1,000,000円以上の高額品が、全体のコスト削減の43.5%を占めています。

率が高いからと注力してしまうと陥穽に落ちます。もちろん業務に熱中するのは良いのですが、さほど意味のない仕事です。それならば高額品にコスト削減に邁進したほうが良いはずです。

あなたはこのような分析は初歩的なものと思うでしょう。しかし、実際にはあまりに多くの企業がこのていどの分析をおこなっていません。まずは知ることが大切です。

ところで、悩むのが発注価格の区切りをいくらからいくらにするかです(前述の例でいえば、100,000円で切るか、500,000円で切るかといった意味です)。

統計における、ヒストグラム作成の原則では、データの数の平方根で区切りとします。たとえば、年間1万件の発注をしているとすれば、1万の平方根ですから100分類しなさいとする手法があります。そして、もっとも安い調達品が1円で、もっとも高い発注品が1,000,000円だとすると、その1,000,000円を100で割り、1万円ごとを区切り、表を作ることになるでしょう。

しかしながら、これはあくまでも統計的な処理をする際のヒストグラムの場合です。実務的に考えれば、100もの分類は、不可能ではないでしょうが、あまりにごちゃごちゃしてしまい、その後の活用につながりません。なによりも、美しくありません。したがって、よく取られるのは、発注品の特徴による分類か、あるいは決裁金額による分類です。

つまり発注品の特徴考えるに、「300,000円以上だったら特殊な工事である」とか、あるいは「1,000,000円以上だったら注意しなければいけない外注工事である」といった場合は、それらの区切を採用します。または「担当者は200,000円まで決済できるが、それ以上は課長決裁が必要で、2,000,000円以上は部長決裁が必要で、さらに10,000,000円以上であれば支店長決裁が必要である」といった場合には、その価格区切りカテゴリーに応じて発注品を分類する方がわかりやすいでしょう。

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