4章-3-3<セクション2~①調達しない調達担当者の誕生>

  • 海外進出により増える調達・購買部門の新たな役割

さきほどは、国内拠点間での調和の難しさを語りました。もっと困難なのは、海外拠点間での「調和」です。また、拠点を設けたばかりの段階や、これから新しく拠点を設置する場合は、その後の調和が図れるような調達・購買機能を新設せねばなりません。ここで、海外進出時を例に、いったい何をすれば良いかを考えてみます。

 

①海外進出先のサポート業務

海外進出先での調達・購買部門はどのような機能を持つのでしょうか。IPO機能なのか、海外顧客への供給機能を持つのかによって、日本の調達・購買部門が受ける影響は異なります。

例としてあげたように、IPO機能なのか、海外顧客への供給機能をもつのか、その形態によって、必要な調達・購買機能を見極め、進出先における円滑な業務立ち上げのサポートを(多くの場合は日本の調達・購買部門が)行ないます。具体的には次の2点です。

 

(1) 調達・購買業務の構築

進出先での調達対象(直接材か、間接材か、その両方か)と、生産機能を持つ場合は目標現地調達率によって調達・購買の機能は変わります。進出当初より現地調達率を高く設定する場合は、日本と同等機能を現地で持たなければなりません。非常にハードルが高い形態です。

海外進出の検討段階で、現地の実情を的確に掌握した上での意志決定が必要です。日本企業における「海外であれば何でも安い」との神話は、この段階でも調達・購買部門に悪影響をおよぼします。

日本国内を同じレベルでの購買を実現するためには、自社および進出先のサプライヤの双方の調和が必要です。したがって、進出先での円滑な自社内業務サイクル構築と同時に、現地の実情に関しては、日本との情報共有方法の実現を念頭に置いて仕組みを作ります。情報収集を基本とするこれら業務は、まさに現代的な調達・購買部門の新業務と呼べるでしょう。

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