4章-3-2<セクション2~①調達しない調達担当者の誕生>
- 「調達・購買」から「サプライチェーン」への脱皮
まず、「調達・購買」と「サプライチェーン」の定義の違いを考えてみます。ここでは、語彙の問題でなく、1点だけ違いを明確にします。調達・購買よりもサプライチェーンの方が、カバーする範囲が拡大しますことです。
左側の、旧来的な調達・購買のイメージとは、企業の事業所や工場の調達・購買部門で、サプライヤと一緒に仕事をするものです。この場合は、調達・購買の実務でサプライヤか、社内関連部門との調整がメインです。一方、右側にあるサプライチェーンのイメージでは、そういった工場、事業所が複数存在し、全体を見る役割があります。
もちろん、企業の規模や、展開状況によっても異なるでしょう。しかし、一つの企業に二つ以上の場所が異なる調達・購買部門を持っている場合、あるいはこれから二つ以上になる場合に、業務を見る視点を調達・購買部門でサプライヤをみるポイントから、複数の調達・購買部門をみるポイントへと変化させます。
これはきわめて大きな変化です。次の図をご覧ください。
同じ企業内で複数の調達・購買部門を持つ場合、もっとも困難なのは、それぞれの調達・購買部門の企業戦略、調達・購買戦略にもとづいた調和を図ることです。これは日本国内の複数ある事業所であっても難しいといわざるをえません。
さらに考えるべきは、進出形態の多様さです。次にあげたいのは、複数の調達・購買部門の一部は海外に存在する場合の役割の複雑さです。