6章4-7<セクション3~情報の収集>
・物価指数(米国)の調べ方~ISM指数
また次に米国の物価指数をとりあげます。5章の為替判断にはproducer price indexを紹介しました。ここでは意図的に、調達・購買業務と縁の深いISM指数をとりあげます。ISMとは、Institute for Supply Managementの頭文字をつかった略称で、日本語では全米サプライマネジメント協会、あるいは全米供給者協会といった言い方をされます。毎年5月に開催される総会では、調達・購買に関わるたくさんのセミナーが開催され、著者も参加経験があります。
そのISMが毎月営業日の初日に発表するのが「製造業景況感指数」で、第3営業日には「非製造業景況感指数」が発表されます。
この指標は、世界で最も古いPMI(Purchasing Manager’s Index、購買担当者景気指数)で、その歴史は1931年にまでさかのぼります。日本のシンクタンクも、この指標の発表を受けてレポートを作成していますし、発表の翌日にはニュースで必ず報道されます。意識していなくても耳にしている、そんな指標です。
この指標は、アメリカのISMに加入しているメンバーへのアンケート調査によって算出されます。調査手法としては、企業短期経済観測調査(日銀短観) と同様の手法であり、表現もDI(Diffusion index)を採用しています。アメリカ経済と日本経済は密接な関係を持っており「アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪を引く」とも言われています。であるならば、今回ご紹介の指標も重要性に疑いはありません。しかし、経済環境は大きく変化しており、この指標の位置づけも変化しています。そもそもアメリカの指標なので、活用法には注意が必要です。