6章4-8<セクション3~情報の収集>
・米国経済と関係の深い産業の先行指標としての位置づけ
日本のシンクタンクが発表するISM指数に関するレポートを参照すると、日本の景況感とのリンクを挙げています。
経済産業省の「2005年日米国際産業連関表による分析」があります。タイトルは「2005年」とはいえ、学ぶところの多い資料です。そこでISM指数と関連し指摘されているポイントは次の3点です。
- 米国需要によって喚起される日本の需要は、2000年と比較すると減少傾向が見られる
- 比率で見る限りは、日本の需要によって喚起される米国需要の割合が大きい(ただし絶対額は比較的少ない)
- 米国需要によって喚起される日本需要は、特定の産業(機械、自動車)の割合が際立って高い
従って、機械産業や自動車産業に従事していなければ、この指標の重要性はあまり高くありません。日本国内の生産活動は、2005年時点で日本国内の需要に84.8%依存しています。この指標と日本の景況感とリンクするとの指摘は多く見られますが、産業構造的に根拠に乏しいのです。
ただ、上記③の部分で、特定の産業には、生産活動の先行指標として十分に参考になります。代表的な産業としては、電子部品デバイスや輸送機械です。同じく経済産業省の発表する鉱工業生産指数と照らし合わせてみると、おおむねトレンドに同じ傾向が見られます。
ISMが発行している初級者向教育資料の中に、ISM指数の活用方法が明記されています。そこには、発注量の見通し決定の参考資料とか、価格見通し、不足が予想されるアイテムの抽出といった事例が明記されています。米国経済と関連の深い業種であれば、同じように活用できます。しかし、他の多くの日本国内内需によって支えられている産業では、あくまでも参考としての指標として扱います。
これら、紹介した情報がすべてではありません。さまざまなデータ源にあたり、かつ総合的に判断することが大切です。