1章-3<セクション2~セオリー①短期的:寡占状態での施策を模索>

・寡占状態の分析マトリクス

まず、寡占状態になっている理由をマトリクス化すると、その原因がよくわかります。横軸は、そもそも「代替製品有り」か「代替製品無し」か。縦軸は「製品領域による要因」に拠るものか、あるいは「環境理由による要因」に拠るものか否かです。

たとえば、第1象限は、代替製品は有るものの、その代替製品を提供するサプライヤが高価だったり、あるいは製品仕様が特殊でスイッチングコスト(切り替えにかかわる試験コスト等)が高価だったりするために切り替えられないものです。第4象限は、代替製品がそもそもなく、その理由は公的認証や地理的要因によるものです。これはたとえば、特定地域では業務委託を受注できるサプライヤがいないなどの可能性があります。

このボックスが二つにわかれているのは、それぞれの象限がさらに二つに分割できるからです。「サプライヤサイド」「バイヤーサイド」の二つとなります。

もちろんこれだけでは分析の状態です。しかし、こうマトリクス化し、可視化していくと、だいぶ短期的な施策が出てくるのではないでしょうか。

  • 第1象限:社内のスイッチングコストが高いのが原因であれば、その試験項目を洗い出して外部機関への依頼なども考えられます。また、そのスイッチングコストや、社内で懸念されている問題をあえて定量的に示すことで、代替サプライヤへ目標コストを明示し交渉もできます。
  • 第2象限:生産キャパや納期が懸念の場合は、サプライヤ工程のチェックや在庫対応などを討議します。しがらみの場合は、サプライヤ切り替えの障害を明らかにし、それを払拭できるかを把握すべきでしょう(もし納得いく形でしがらみが存在するのであれば、それは“一社独占”そのものが悩みではないことになります)。グローバル展開の場合は、サプライヤの海外進出を進めることが寡占打破につながります。
  • 第3象限:一社のみ特有技術に対応している場合です。これは次節のサプライヤ発掘のテーマにもつながります。この場合、やはり他社が追随できなければ、そのサプライヤを前提としたコスト交渉や見積査定を前提とします。
  • 第4象限:そもそも代替サプライヤを探していなかったとしたら、それは探すとして、公的認証の場合は、サプライヤが申請していないケースもありますから確認が必要です。そして認証が取れないとしたら、いかなる理由によるかを調べます。ただし競合他社は他サプライヤを使っているケースが多いでしょうから、使用サプライヤを調査も一手です。

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