1章-4・寡占状態のサプライヤ対策
ここでは寡占状態を考えているものの、まずはたとえば、複数のサプライヤから購入可能である場合を想定しましょう。サプライヤA,B,Cの3社から見積を入手します。それぞれ、A:¥100、B:¥90、C:¥80との金額であった場合、この競合の範囲内ではC社が一番安価であると言うことができます。しかし、¥80が絶対的に安い金額かといえば、まだそう判断できません。寡占であればなおのこと、「絶対的に安い金額」かどうか、絶対的評価への取り組みです。
そのためには、やはり、提示された見積書の中身、価格の明細に妥当性があるかどうかを判断せねばなりません。寡占状態であっても、やはりこれがコストダウンの王道です。競合は購入価格を下げる有効な手段です。しかし、競合ができない場合にも、調達担当者ができることがあります。
理想的には、見積依頼をサプライヤへ提示する時点で、自分でも見積が完了しており、その自分で行なった見積金額が、一つの価格の判断基準になっていなければなりません。
当然、このような取り組みには、いろいろな準備が必要です。たとえば、機械用の部品を調達しているとします。製品コストの要素としては、さまざまなものがあります。
- 金属材料
- 機械加工費
- 労務費
- 購入部品費
絶対的な価値評価をベースに価格決定をおこなうためには、その材料、工法等の知識が必要になります。またコスト積算の観点では、原価計算といった管理会計的な知識も非常に重要です。その他、市況データなど、さまざまな情報を組み合わせるのです。
絶対的ばかりを強調してしまったものの、もちろん相対的な判断も有効です。たとえば、次のようなものです。
- 前例実績単価
- 業界の市場価格
- 類似品実績単価
もちろん、相対的な価格は、「その価格だった」というだけでかならずしも正しいわけではありません。前例実績単価など、それ自体の正当性を模索することが調達担当者の役割です。寡占状態であっても、自分なりの尺度をもつべきです。
そして、中期的には、次節であるように、対抗サプライヤを探すことになります。