2章-6-3<セクション5~④いかに効率的にモノの納期調整をおこなうか>
・納期の調整方法について
くわえて、サプライヤにたいして、いかに納期フォローをおこなうべきでしょうか。もっともよろしくないのは、「納期当日になって、納入されないのがわかり、あわてて電話する」といったことです。これには二つの悪しき状況が反映されています。一つ目は、サプライヤ側も、納期に間に合わなくても、それが恒常化していることです。そして、二つ目は、納期当日まで、納期を確認する機会がないことです。
売買契約の多くでは、注文後、数日以内に条件を満足できなければ双方のどちらかが申し入れると義務づけています。価格、数量、納期について、サプライヤ側が実現できなければ、本来はバイヤー企業に申し入れるべきです。しかし、この契約条項は無意味化しているケースが多々あります。つまり「毎回、無理な納期設定で注文する」のが両者(社)ともに常識化しており、いちいち双方で連絡をしないケースです。この場合は、一概にサプライヤだけに責任を転嫁できません。
そこで当たり前のような方法の徹底こそが注目されます。
1.「サプライヤへ細かい進捗管理をおこなう」ことと
2.「生産変動等の情報伝達をおこなう」ことです。
バイヤー企業によっては、主要サプライヤと週に一度、注文品(受注品)すべてにおいて進捗管理を行っています(1.「サプライヤへ細かい進捗管理をおこなう」)。エクセル表などで一覧化し、それぞれ指定納期通りに納入可能かを確認します。これは、このような場があること自体が有効であるとされます。つまり、確認する行為自体が、両者(社)に緊張を与え、先行での調整を可能とします。つまり、早い段階で納期が間に合わないとわかった時点で、それぞれの社内で調整に動く--、この動き自体が物事の深刻化を防ぎます。
また、これはその時点での注文残だけに限りません。今後の需要予測についても生産管理部門などとともに、生産情報を共有する定期会議が有効です(2.「生産変動等の情報伝達をおこなう」)。もちろん、ここには一つの問題があり、生産「計画」であって、生産「確定」ではないため、サプライヤ側としては実際に注文を受けるまで生産に取り掛かれないのです。その意味で、先行情報を、あくまで「情報」レベルにしておくか、引取責任を有する先行発注情報として扱うかは企業によってさまざまなスタンスがあります。
たとえば、1ヶ月前の選考情報については、もし数量が5割ほど変動(減少)してしまったら、そのうち数割は買い取るなどと取り決めておきます。これには絶対的な方法はなく、生産情報の精度向上しかありません。