2章-6-4<セクション5~④いかに効率的にモノの納期調整をおこなうか>
・納期の調整の工夫について
また、「カムアップ方式」なる納期フォロー方法があります。以前は紙を使って、現在ではスプレッドシート(エクセルなどの表計算ソフト)を使って行われます。単純にいえば、注文した用紙を、納期順に並べ、それを見ながら進度管理を行いうものです。スプレッドシートを使う場合は、注文残について、納期が近い順に並べておき、一件ずつ、納期が確認できた順に消しこむのです。
もちろん、電話、対面、書面などさまざまな方法がありますが、もっとも使われる手段は、電子上の回答です。現在では、電子発注が主流ですから、サプライヤ側も受注確認とともに、確定納期を電子上で入力してもらう方法です。実際の担当者は、その確定納期が入力されていない注文についてフォローを実施します。
くわえてよく使われる方法は、その翌週に納期指定されている注文一覧を紙出力し、担当者に配布する方法です。データ上ではなく、紙で見える化し、納期フォローの漏れをなくします。
これまでが通常の方法で、適正なリードタイムを順守してもサプライヤ側の問題で納入されない場合もあります。一覧表として納期遵守率を交渉ルームなどに貼りだすバイヤー企業みられます。これは、突発注文のケースを除いて、どれだけの注文を遅延しなかったのか(遅延したのか)を一覧表にする方法です。
遵守率の低いサプライヤは「ワーストサプライヤ」として掲げられます。納期を遅延しがちであれば、翌期の受注量が減ってしまうことになれば、サプライヤにとっては納期を順守するインセンティブにもなります。
バイヤー企業によっては、納期をフォローする人員と、発注を決定する人員をわける取り組みを実施するケースもあります。納期を短縮する代わりに、価格は高くする、といった不正行為をなくすためです。ただし、納期フォローだけを担当する人員のモチベーションも向上しないため、定期的なローテーションが望まれます。