7章4-7<セクション3~社内関連部門とのコラボレーション>
・4.品質保証部門との連携~(1)「調達品の品質確保」
品質保証部門は、自社製品の品質を確保し維持する重要な役割を担っています。コストに注目する調達・購買部門とは、品質とコストを両立する重要な課題を共同で解決します。
購入品の品質確保は、従来の受入検査を行って自社への流入を防ぐ管理から、サプライヤの個々の生産工程で不具合品を後工程に流さない、そして不具合発生の可能性をあらかじめサプライヤの設計段階で抑止する源流管理へといたります。
サプライヤの源流管理をおこなうためには、サプライヤの新規採用審査、継続審査の際に、品質管理体制を評価し、事前対策が重要です。
取引を行っているサプライヤには、品質保証部門と共同で監査します。年間を通じたスケジュールを設定して、サプライヤを巡回する体制を構築しなければなりません。品質管理上の問題点を、監査によって明確にし、改善活動を進めます。
では、規格で定められた大量生産の標準的な購入品の一つを取り上げて、源流管理と称して、あらゆる購入品に対し、生産プロセスの妥当性や、個々のプロセスにおいて正しい手順で生産が実施されたかどうかの確認が妥当でしょうか。
購入するものには、それぞれ必要な品質管理レベルがあります。企業によっては、購入品の使用用途によって、その重要度を定義し、品質管理基準へ展開している例もあります。この「重要度」とは、調達・購買部門で決められるものではありません。機能面、耐久性、不具合があったり、故障した場合の全体への影響度だったりといった様々な要因で決定されます。
購入品の重要度を決定する仕組みが自社に無い場合、顧客から購入品に高い品質管理を求められるケースがあります。最初は、対象はすべての購入品です。しかし、現実的にはすべての購入品に高い管理レベルを求めるのは困難です。すべての購入品に、トレーサビリティの確保や、原材料、製造方法や設備の変更点管理はできません。
調達・購買部門は、品質保証部門とのやり取りの中で、品質とコストのバランスを整合させます。高い品質をサプライヤに要求するのでなく、必要とする品質を3者で見極めます。これは、あるタイミングではとても手間を必要とする調整です。しかし、3者の間で合意せねば、のちのちのトラブルになります。
なお、このところサプライヤの品質管理内容及び体制の確認を強化し、受入検査は簡素化もしくは、省略する企業も多くなっています。ただ、受入検査は、源流管理を徹底していたとしても、サプライヤの品質を維持する重要な意義をもっています。ある意味、源流管理が機能しているかどうかは、受入管理を実施して初めて確認できるのです。