7章4-8<セクション3~社内関連部門とのコラボレーション>

4.品質保証部門との連携~(2)「最適品質レベルの模索」

品質トラブルが発生した場合は、一刻も早く原因を排除し、品質を取り戻さなければなりません。そのいっぽう、調達・購買部門では、コストダウンが重要視されます。今、主流となっている品質面の源流管理は、サプライヤ側で管理する時間を増大させ、結果的に購入コストへ跳ね返るケースが多くなっています。購入時のコスト面だけを考えれば、マイナスです。

しかし、はたして、源流管理による管理時間の増大は、ほんとうにマイナスでしょうか。

品質面での大きなトラブルは、その規模によっては会社の経営を揺るがす可能性もあります。したがって、中長期的には、むしろ。低コスト経営が実現します。

ややこしいのは短期的なコストアップです。どう考えても、適当な工程品質管理しかしていないサプライヤと、厳格な源流管理をしているサプライヤとでは、コストが異なります。具体的には、労務コストが増大します。

品質トラブルを起こさないために、必要なコストの発生はやむを得ません。一方、源流管理の実践による管理時間の増大は、コスト面で短期的な競争力を減退させる要因となる可能性を持っています。

品質に優れたサプライヤも、短期的には海外サプライヤに負けるかもしれません。なぜなら、そこまで品質管理に力をかけなくても、それなりの品質のものはできるからです。さらに数年では不良品が出ないかもしれません。

どうすればよいのでしょうか。

答えはありません。

高い品質の確保・維持と、適正なコストは両立させるべきものです。そのタテマエ以上のことを述べられるはずもありません。

ただすくなくともいえるのは、高い品質管理と源流強化こそが原因で高コストになっているとすれば、調達担当者しか関係部門に問題意識を投げかけることはできないでしょう。

いくつかの例では、自社の品質保証部門もいいやすいからでしょうか。国内サプライヤが過重な品質管理を担い、海外サプライヤは国内サプライヤほどの管理をおこなわないケースがあります。

そのようなとき、国内サプライヤが実施している管理は必要なのでしょうか。世界一の品質追求のために必要? それは、コストに換算すると、定量的にいくらくらいメリットがあるのでしょうか。何が何でも必要? 海外サプライヤはやっていないくせに。

といった皮肉くらいは継続的に問いかけ、品質もコストも、適切な実現を模索していくべきでしょう。その観点からも、「これは品質保証部門の基準だ」とサプライヤに押し付けるだけではなく、ときに品質保証部門と連携することで、最適調達を志向すべきです。

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