7章2-1<セクション1~調達・購買部門ビジョンの重要性>
・調達・購買部門の地位向上にむけて
調達・購買部門の地位向上はかねてからテーマでした。ここ数年で調達・購買関連書籍が増え、以前よりも注目を集めているとは感じます。しかし、それでもまだ社内地位はけっして高くなったとはいえないレベルでしょう。
それにしても社内地位向上とは奇妙な単語です。というのも、単に社内地位の向上だけを目指すのは本末転倒のように思えるからです。たとえば、どの企業も開発・設計部門は、いわゆる地位が高い部門ではないでしょうか。ただ、彼らはそのようなことをさほど意識していないはずで、結果として地位が高いと見えるにすぎません。
調達・購買部門も考え方としては、次を目指すべきとして、論を進めます。
- まず「調達・購買ビジョン」を明確化
- そして「調達戦略」を形作る
- そのうえで、社内との連携を強化し、パフォーマンスの最大化を図る
そして結果として、社内に存在感を示し、みなから頼られる地位の高い部門を目指すものです。なお、これまで戦略といった単語を、無前提で使用していました。本書で、戦略をあらためて説明するのも、この地位向上の文脈で説明したかったからです。
そこで、まずはビジョンからはじめます。
ビジョンとは、未来への展望であり、未来像、また先行きの見通しです。企業によっては「理念」とも表されます。企業を取り巻く環境の変化のスピードが速い現代では、どう進むべきかに迷い、悩んでしまいます。そんなときに立ち戻って確認し、行動の基準とするのがビジョンです。