1章-6-3<セクション4~セオリー③長期的:正しい集中/分散調達を実行する>

A) 購買権限の集中~パターン2

また、分散していた購入窓口を集中購買目的で一本化(集中化)するのは、もっとも一般的な集中購買の取り組みです。

そして、残念ながら一般的であるが故に、もっとも失敗しがちな取り組み方法でもあります。

購入数量をまとめてボリュームディスカウント(数量効果)を引き出すのがこの方法です。しかし、元々購入窓口が分散していた場合「まとめる」を実現させるためにはいくつかの注意事項は必要です。

まず、どこの窓口に一本化するかです。多くの企業では本社部門に一本化の窓口を置いて集中購買に取り組みます。本社に窓口をまとめるのは間違いではありません。問題はその根拠です。

例えば、これまでまったく本社で購入を行なっていなかった場合を想定します。分散購買をおこなっていたときには、もっともバイイングパワーを持っていなかった訳ですね。ところが、バイヤー企業の社内決定で一躍もっともバイイングパワーを持つようになります。この典型的な経緯が様々な問題の火種になります。

つづいて、分散購買の際に最も多くの購買を行なっていた窓口の立場で考えてみます。これまで様々な取り組みを通じて実現してきた購入価格のメリットを、いきなり社内とはいえ別の部門にとられるわけです。

複数窓口を一本化して実現する集中購買では、元々の各窓口を担っていた調達担当者全員が一丸となって取り組まなければなりません。一枚岩になるため、各窓口で勝手な振る舞いをさせない取り組みが必要となります。

例えば、根拠のない本社一本化よりも、もっとも購入量の多かった窓口への一本化の方が、社内関係者の理解を得やすくなります。同時に、一本化から外れた各窓口とサプライヤとのコンタクトの制限と、一本化窓口の交渉状況の全体への開示によるプロセスの透明化も有効な手段です。

同時にサプライヤへ窓口一本化の説明と理解も不可欠です。バイヤー企業と同様に、サプライヤにも複数の窓口を販売体制で持っている場合があります。サプライヤの全社的な売上には影響が無いかもしれません。しかし窓口によっては、売上がゼロになる可能性もあります。集中購買を志向するバイヤー企業として、これまで貢献してくれたサプライヤ担当拠点への配慮は必ず行なわなければなりません。

このような集中購買でメリットを出し続けるためには、窓口の一本化をサプライヤに宣言し、実質的に1ヶ所をサプライヤ営業の窓口とするための、従来の利害関係者の認識と行動が合致しなければなりません。

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