7章2-2<セクション1~調達・購買部門ビジョンの重要性>

調達・購買ビジョンとはなにか

調達・購買部門では、業務を進め具体的に「何を」実現するのでしょうか。実際はコストダウンであり、高い品質であり、短い納期です。一方ビジョンとは、これら具体的な責任をまっとうした先に「何を」求めるのかを考えた上で設定します。

前述のとおり、多忙な業務の中で忘れてしまいがちなもの。それは、企業としておこなう社会への貢献です。調達担当者が業務を進むべき道を指し示す方向性が調達・購買のビジョンなのです。顧客、サプライヤそして業務を実行する調達担当者、皆が納得できるビジョンは、企業市民として不可欠なものです。

調達・購買ビジョンとは、業務を進める上での理想を、利害関係者であるサプライヤや社内の関連部門で働く同僚に対して、共通認識として誰もがわかりやすいように示し、高らかな宣言に意義があります。

調達・購買ビジョンは、調達・購買部門メンバーの総意が必要です。業務を通じてどのような未来を求めるのか。社内にも、もちろんサプライヤにも納得してもらえる内容が求められます。企業ビジョンと同じように、調達・購買ビジョンには、次の三つの要素が含まれていなければなりません。

  • 調達・購買部門の存在意義
  • 調達・購買部門の持つ価値観
  • 調達・購買部門が考える将来展望

まず「調達・購買部門の存在意義」です。ここには、なぜ調達・購買部門が企業内に組織として存在するのか、その根拠、理由が述べられていなくてはなりません。企業内に存在しないリソースを社外から適正なOCDレベルで確保するといった内容が最低限含まれなければなりません。加えて、調達・購買部門の業務が企業の使命のまっとうに不可欠であり、顧客ニーズを満たすお客様の視点も必要です。

続いて「調達・購買部門の持つ価値観」です。これは調達・購買部門の掲げる目的をどのように達成するのか、その方法を示します。目的を達成する過程で、どのように業務を進めるのか。掲げるだけでなく、どのように行動すべきかを示します。価値観そのものよりも、調達・購買の実務部門が設定する内容ですから、具体的な行動内容で示します。この部分は、ビジョンの性質上、将来的には調達担当者の行動を律する内容になりますので、調達・購買部メンバーの相違でなければなりません。

最後に「調達・購買部門の抱える将来展望」です。これは、抽象的でなく、明確にイメージできる内容でなければなりません。当然ながら、企業や事業のビジョンとも合致する内容とします。

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