1章-6-5<セクション4~セオリー③長期的:正しい集中/分散調達を実行する>

C)  購買品の集中~2.種類が増えないための仕組みづくり

またこんなケースもあるかもしれません。実際に検討してみたら、まったく同じ仕様の製品に、異なる購入番号(部品番号)を採番して、何種類にも分割して購入していたのです。このような事態は、購入種類を削減する取り組みで、購入種類を削減の結果、メリットの創出をおこなうと同時に、もう一つ価値ある対応をおこなわなければなりません。それは、なぜ購入種類が増えてしまったのか、その原因の追及と再発防止策を構築です。

そもそもなぜ購入種類が増えてしまったのでしょうか。開発・設計部門での検討の際に、購入実績を容易に活用できる仕組みが存在すれば、やみくもに購入品の種類が増えません。また、まったく同じサイズ、形状で材質が異なる場合は、材質による機能の違いを、開発・設計部門で同じ認識が持っており共有されていれば、必要以上に種類が増えるはずもありません。

そういった実績の有無や、購入仕様に影響を与える違いを容易に理解できるような仕組みによって、開発・設計部門の業務をサポートできているかどうかが、無駄に購入種類を増やさないための重要なポイントです。調達・購買部門主導で後からまとめるといった作業を発生させないために、発注実績のある製品の購入価格や寸法、材質、簡単な機能を検索できるデータベースを整備し、実務に活用しなければなりません。そもそもデータベースがない場合は、まずその構築をおこない、今後二度と同じような無駄な発注をしない仕組みづくりを、開発・設計部門や社内関連部門と共同でおこないます。

「購入品の集中化」で大きなメリットが出た場合、実は、集中化をおこなう前の段階に大きな無駄が潜んでいる場合があります。集中化を開始して、調達・購買部門の上流工程でこのような事象が確認できた場合は、現状に対する改善活動と同時に、再発防止策が重要です。一時的な集中化(標準化、共通化)を進めるのでなく、将来的に二度と無駄な分散を生まないための仕組み作りが必要です。

一度おこなってみると分かりますが、こういった事前に確認できれば分散しなかった状態を集中化するのは、購入要求部門、製造業では開発・設計部門にとって後ろ向きな作業です。調達・購買部門は、集中化によるメリットの提示によって、開発・設計部門のモチベーションの源を提供すると同時に、購入品のデータベースの整備を開発・設計部門と共同で進めて集中化に貢献し、二度と同じ分散状態に舞い戻らない確固たる仕組み作りに貢献します。

また、このような購入品の集中化の取り組みは、標準的な購入品を対象に取り組むケースが多くなります。集中化の実現によって、在庫スペースの削減や、受領方法・受け入れ検査の簡素化といった形で、メリットの範囲の拡大を調達・購買部門主導で進めます。活動は地道で小さな効果の積み重ねが必要です。しかし、こういった活動によって企業の調達体質がより強くなるのです。

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