7章3-1<セクション2~調達戦略の作り方>
・戦略とはなにか
まず「戦略とは」なんでしょう。戦略とは、その言葉の通り、戦争にいかにして勝利するかを考えて策をめぐらせることです。戦略とは、との質問には様々な回答が、これまでにたくさん語られています。この場では、この時期にやる意義を強調するために「戦いの前に勝利するためにおこなうべきあらゆる行動を決定するための指針」と定義づけます。そして、戦略としての正しさを測る条件を次の通り五つ設けることにします。
1. 現実的であること
最近、先の日本が負けた戦争について、従来とは異なった史実が明らかになっています。私がこれらを見ていて一番に感じることは、現実を直視せず国民が生死を賭けるにも関わらず極端な精神論に終始しつつ、現実から目を背けている当時の指導者たちの姿です。市場において企業がおこなっている戦いにおいても、実際に実現できるかどうかについてはこだわることが必要です。現実化させるのは誰でもなく自分であるとの当事者意識を醸成させるのにも、現実的であることは不可欠です。
2. 数値化でき、かつ検証できる定量的な指標
この部分が目標とは異なる部分です。また1で述べた精神論を排除する意味でも、数値として評価・検証できなければなりません。企業の存在意義が、一義的に利益をもたらすことに照らし合わせても、数値し検証可能であることが絶対条件です。
3. 具体的に実現可能な行動を集合であること
2にて提起した数値化を達成するためには、従業員の具体的な戦略に基づいた行動が不可欠です。抽象的なものであってはダメなのです。
4. 継続性と展開性があること
企業は一年限りのものではありません。その戦略にも継続性が必要です。そしてめまぐるしく変わる経営環境への対処、また企業としての規模そして質的な成長を考える上でも、展開できることが必要です。
5. 全体最適
調達・購買部門において、他部門との整合性を取りつつ、戦略を掲げることが一番難しいのではないかと考えています。また各部門の戦略を寄せ集めただけでは経営戦略の体を成しません。戦略の実行には、関連部門の協力は不可欠です。また同一企業内であればどの部門も、究極的なゴールは同じであるはずですね。調達・購買部門の戦略構築では、一番重要な条件です。