7章3-2<セクション2~調達戦略の作り方>

続いて戦略の根幹についてです。私は新規サプライヤの開拓に際して、いろいろなサプライヤの会社案内を見ます。どんな会社にも必ずあるものが、理念でありビジョンです。さきほど、このビジョンの大切さについて説明しました。ビジョンを中心に、各事業や各セクションの戦略が整合性を持って囲み、かつ整合性を兼ね備えている形が、戦略としてもっとも好ましい状態です。

そして、調達・購買部門のビジョンを踏まえて、戦略の階層を考えてみます。企業の経営戦略には階層構造が存在します。次の図表をご参照ください。

以前の章での話を踏まえると、上記の図表に示された各戦略が企業戦略として統合され、整合性を持っていなければなりません。そして、調達・購買戦略をつくる上で悩ましい問題。それは、企業の業務フローの下流部門に位置するがゆえに、他の戦略があるていど固まらないことには、調達・購買部門の戦略構築がおこなえないことでしょう。

そして、戦略構築の自由度との点で、どうしても上流部門の戦略が、調達・購買部門の戦略を制約する要因、さまたげになるのです。

上流工程の戦略を調達・購買部門の戦略の「さまたげ」とさせないためには、二つの対処法が存在します。

一つ目は、調達・購買部門が接しているサプライヤが存在する市場から、的確な情報収集をおこない、問題意識を独自に構築しておくことです。そして日々の業務を通じて社内との連携を図っておくことです。これは本章でのちほど詳しく説明します。

二つ目は、独自に構築した問題意識をベースに、上流部門の構築した戦略と整合をとるプロセスを必ず設けることです。戦略を具体的な行動へ移すべく、調達担当者が業務に邁進するためにも、戦略はお飾りであってはいけません。

整合性の確保、これは日本の企業内で、調達・購買部門のしかるべき地位を得るためには必要です。毎年のように実現可能性の乏しい戦略を書類上だけで作り、すぐさまゴミ箱に捨てて、期末には未達成。その当然さが、調達・購買部門の地位を低くおとしめています。

一般的に調達力があると言われる企業では、戦略決定に際して、関連部門と討議する場が存在します。そのような場面がない企業では、まずそんな話し合いを持つことから始める。それが確固たる調達・購買戦略構築の第一歩です。

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