1章-5-5<セクション3~セオリー②中期的:対抗サプライヤを探す>
もう一つの例は、以下の通りです。
この例では、サプライヤAが五つの製品ラインを持っています。しかし二つの製品ラインからしか購入していない場合です。
先の例では、まったく同じ製品の製造を生業としながらも、その全工程の一部である設計、ここでは生産設計機能の有無によって、サプライヤが選定されていました。次の例では、サプライヤの持つ製品ラインナップの一部しか購入していません。先のケースでは、購入する製品に必要な「リソース」を、サプライヤがどこまでカバーしてくれるかを掌握すれば、自ずと次のアクションが決まってきます。
また、設計機能のみを外部から調達できないかといった形です。後のケースでは、製品C、D、Eも対応可能であるという情報を掌握します。その上で、製品C、D、Eを他のサプライヤから購入している場合、集約への取り組みといった将来的に必要となった場合に活用するといったアクションへとつながります。
このようなリソースの掌握には、つぎのような利点があります。
まず、一つ目のケースでは、サプライヤの持つ強みを読み解くことが可能です。同じような製品を異なる二つのサプライヤから購入する場合、それぞれの持つリソースに着目して、どちらにどのような優位性が存在するのかをあらかじめ掌握することが可能です。仮にまったく同じ製品を、ダブルソースで購入する場合は、どちらにどのような強みがあるかと同時に、どんな弱みが存在するのかも理解することができます。
また、二つ目のケースでは、既に取引のあるサプライヤで、異なる製品ラインナップを、新たに購入する場合は、既存の取引によってサプライヤとバイヤー企業側に蓄積された取引諸条件に関するノウハウがそのまま活用できます。これは、ある意味で新規サプライヤの開拓と同じ効果があります。
さて、それではサプライヤの開拓プロセスに戻ります。