1章-6-7<セクション4~セオリー③長期的:正しい集中/分散調達を実行する>

2. 集中購買によって発生するリスクへの対処

調達・購買部門が自由にサプライヤの選定をできるようになれば、発注するサプライヤの集中化も分散化も、調達・購買部門の意志で決定できるようになります。今回は、集中購買によって生じるリスクへの対処を考えてみます。集中購買の勘所は、集中化の効果を出しつつ、リスクの顕在化の防止が必要です。調達・購買部門で想定しなければならないリスクは二つあります。

  • 「集中して発注するサプライヤの倒産リスク」:発注を集中するサプライヤですから、財務面でのリスク存在の確認は十分におこなわなければなりません。それだけでなく、サプライヤ内での事業継続リスクにも配慮します。事業の整理統合の動きは、今どんな企業でも起こりうる生き残りの策です。こういった面は、集中化をおこなう前に、集中するサプライヤにリスク有無をヒアリングし、納得のいく説明を求めます。また、集中化するまえの説明内容を、集中化して以降も定期的に求めて、サプライヤ内の変化の兆候の掌握に勤めます。また、財務面でのリスクは別章でくわしく説明します。
  • 「天災や事故による災害時の供給継続リスク」:多くの企業でBCP(事業継続計画)を策定しています。しかし、多くの中小規模の企業では、計画策定に費やすリソースの不足によって、計画策定が進んでいません。その場合、計画策定の申し入れ、策定確認も重要です。ただ、どんなに立派な計画を立てても、実際にリスクが顕在化した際に機能するかどうかは別問題であると否定できません。具体的にどのような種類の天災や事故を想定するか。例えば、まだ記憶に新しい東日本大震災と、阪神淡路大震災。同じ大地震ですが、企業活動に与えた被害は大きく異なっています。BCPの策定には、まずどのような被害想定をおこなうかが重要です。

あるサプライヤへの集中化をおこなう場合、天災や事故による災害時の供給継続性は、バイヤー企業も共同で具体性をもった対応策を設定します。具体的には在庫がもっとも効果的な手段でしょう。完成品の在庫とするか、材料にするか。在庫負担は集中化によってバイヤー企業とサプライヤの双方に生まれるメリットの中で回収できるかどうか。在庫品の品質は、主だった天災や事故によっても守られるか。そのような点を確認して、リスクの顕在化に備えましょう。

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