調達原論3【28回目一検収と三権分立】

28「検収と三権分立」

相互監視システムとしての権利分割 

 

会社のお金を横領する方法でよく使われるのは、架空発注です。バイヤーが伝票をもとに物品をサプライヤーに注文します。サプライヤーは何も納品せずに、納品書だけをバイヤーに送り返し、バイヤーが検収の印を押し、経理部門に送付しておしまい。これで数日後には、サプライヤーからバイヤーの個人口座にマージンが支払われるという、蜜月的癒着構図です。

多くの企業では、株主や銀行等から預かった資金の運営を透明化し、不正の巣をつくらないためにも、購買プロセスの三権分立化を進めてきました。仕様を決定するのは設計部門、調達先を決定するのは購買部門、検収は受け入れ部門が実施する(経理部門はその検収印を元にサプライヤーに支払処理を行う)。

少なからぬ企業では、設計部門が実体的には、開発過程でサプライヤーまで決定してしまうことが多いようです。前述の精神を拡大していえば、それは設計部門と特定サプライヤーの利権談合絵図と批判されます。調達・購買部門の役割とは、企業活動の宿痾を脱し、プロセスを透明化する役割もあるのです。

納品された製品は、多くの場合、指定納品場所に納められ、このことを「受領」といいます。そして、その後に、受領した製品が仕様通りのものかどうかをチェックし、それが認められれば「検収」となるのです。

特殊な契約を除いて、受領から検収にいたる行為は、その製品の所有権がサプライヤー側からバイヤー企業側に移ることを意味します。少なからぬ企業では、受領と検収は同時に解され、納品とともに「受領書兼検収書」が発行されます。サプライヤーからの納品については、各社とも基本契約書等で取り決めている場合が多いため、一読しておきましょう。

また、検収といってもさまざまで、形式的な検査要領書があるのに品名しか確認しない場合や、数量チェックのみの場合、抜き取り検査で済ます場合、お客の安全性に関わるものであれば全数テストを実施する、などいくつかのパターンがあります。

日本では、ほとんどの場合は「納品された製品に不良はない」という前提で受領・検収が行われているはずです。それは、サプライヤーの工程自体をバイヤー企業とともに作り上げることで、検収の一部をサプライヤーの最終品質工程に移譲している、ということもできます。

冒頭でバイヤーの横領について述べましたが、試作品等の部品は設計部門に直接送付され、それが試作向け部品ゆえに紛失したり、すでに何かに組み込まれて姿を消したりする場合も散見されるはずです。調達・購買部門からは、不正な処理を疑われないよう、必ず正規の受領・検収ルートを通すように社内に指導していきましょう。

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