調達原論2【24回目一歩進んだ調達業務改善】AIを活用した調達・購買業務
これから、調達・購買業務にもAIが活用できないか考える価値がある。機械学習では、これまでの莫大なデータを分析し、法則性を発見したり、あるいは値を予想したりする。たとえば応用しやすいのは、価格査定かもしれない。これまで金属加工品をたくさん調達していたとする。そのとき、製品サイズ、加工長……などのデータを備蓄しておけば、それを機械学習のデータとしてインプットすればいい。すると新たに調達する製品があったとき、そのサイズ、加工長等を入力すれば、妥当な価格を導いてくれる。しかも数秒だ。
これまで、このような機械学習は高度な技能が必要とされた。しかし、上記ていどでよければ、現在では無料で試行できる環境が揃ってきた。プログラミング言語のPythonをインストールし、scikit-learnという機械学習のライブラリを使えば、ノートパソコンでも実行が可能だ。
機械学習では、まずデータのいくつかを使い、モデル式をつくる。そして、残りのデータで、そのモデル式が正しいかをテストし精度をあげる。重要なのはそのデータの量で、多いほどいい。データが整備できれば、価格査定のみならず、サプライヤ評価や倒産予知などにも活用方法は広がるだろう。
問題は、AIが導いた答えの根拠を調達・購買担当者がわからない点だ。なぜだかわからない、でも、○○円が妥当だ、という結論。多くの調達マネージャーはそれではサインはしないだろう。しかし原価計算をするよりずっと速く、生産現場を知るよりもずっと精緻に価格を査定できる。これは悪夢あるいは喜劇だろうか。それとも新たな調達・購買業務の幕開けだろうか。