調達原論【29回目】サプライヤ集約と部品集約

サプライヤや部品点数を集約する。双方とも同じ意味で使われがちなものの、厳密には異なる。部品点数は変えずに、優れたサプライヤに代替生産を依頼するのか、部品点数を削減し、さらに特定のサプライヤで集約するのか。いくつかのパターンが考えられる。マトリクスで4つの象限にわけた。それぞれのメリットとデメリットは次の通りだ。

①メリット:リスク分散可能、都度最適仕様が選択でき、自由度のあるサプライヤ選定可能。デメリット:管理工数の増大、コスト硬直化

②メリット:部品当たりボリューム増加、管理工数減。デメリット:オーバースペック品を使用せねばならない恐れがある、他社との差別化困難

③メリット:サプライヤあたりボリューム増加、管理工数減。デメリット:切り替えコスト増加、サプライヤリスク増加

④メリット:部品、サプライヤあたりボリューム増加、管理工数減。デメリット:オーバースペック品を使用せねばならない恐れがある、切り替えコスト増加、他社との差別化困難

もっともやっかいなのは、「オーバースペック品を使用せねばならない恐れがある」だ。部品点数を削減する際、全体のコストが低減するにもかかわらず、集約部品を使用することで、特定の製品原価じゃあがってしまうケースがある。そうすると担当部門からは「集約あるまじき」という意見が出され、見事に集約は頓挫する。これは部門の原価を守ろうとする真面目な担当者にすると当然の対抗だ。だからこそマネジメント層がルールを作らねばならない。

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