調達原論【28回目】サプライヤ数の削減について注意事項

サプライヤのQCD(品質・コスト・納期)等が芳しくない際に、そのサプライヤとは残念ながら取引の停止を検討せねばならない。ただし、この際、サプライヤがいわゆる下請中小企業に該当し、長期的な関係を有する場合は、注意が必要だ。

なぜならば、下請中小企業振興法の振興基準には、「取引停止の予告」項目が存在し、「親事業者は、継続的な取引関係を有する下請事業者との取引を停止し、又は大幅に取引を減少しようとする場合には、下請事業者の経営に著しい影響を与えないよう配慮し、相当の猶予期間をもって予告するものとする」とある。

また、法の趣旨を鑑みるに、下請中小企業には改善のチャンスを提供し、そのうえでの判断が望まれる。よって、まずは明確に現在のQCDレベルが及第点に至っていない事実と、その改善のための猶予期間を伝える。そのうえで、改善が見られないようであれば、会議などの伝達をもって、経営に配慮したゆるやかな発注減が望まれる。

さらに、多くの場合は、完全に発注がゼロになるわけではない。たとえば年間1個だけのカスタマイズされた保守部品まで切り替えるのは現実的ではない。すくなからぬ部品で付き合いは継続するはずだ。その対応が劇的に悪くなってしまうのは避けなければならない。よって、敗者復活の可能性をつねに伝え、QCDの改善によっては取引は再開すると両社が認識しておくべきだ。それにしても取引を断絶するときにもさまざまな配慮が必要だとは。結婚とおなじではじまりよりも終わりが難しい。

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