調達原論2【21回目一歩進んだ調達業務改善】サプライヤ管理とCSR

かつて近江商人は「三方良し」といった。これは、売り手よし、買い手よし、世間よしを指す。しかし、これからは、「四方良し」でなければならないのではないか。売り手の、さらに売り手。つまりサプライヤの満足度も高めねばならない。たとえばアップルコンピュータはサプライヤの労務問題が浮上してから、サプライヤ従業員の労務時間管理までおこなっている。ナイキも90年代にサプライヤで労働問題が起きた以降、コンプライアンスの観点から注意してきた。

アパレル某社のジーンズからは、サプライヤの労働者が入れたと思われるメモが話題になった。いわく、中国の工場では強制労働・長時間労働が当然で、かつ低賃率という。ほんとうに労働者が入れたものか不明のため、固有名詞は書かない。しかし、ブランドイメージの毀損につながったのはたしかだ。

自社ではない、サプライヤのやったことだ、といっても言い訳にはならない。サプライヤを含めて、サプライチェーン全体での高潔性が求められている。最近では、CSR(corporate social responsibility)調達の名称でひろく浸透してきた。新しい概念ではない。日本資本主義の祖である渋沢栄一が述べていた、社会に貢献する事業を営め、ということだ。

各業界団体でCSR調達の雛形があるかもしれない。まず、社内に浸透させ、それを調達方針として盛り込むことだ。そして倫理規定や、行動指針などに盛り込む。このところ、圧迫交渉をやめたり、過剰な接待は拒否したりするまっとうな調達・購買部門が増えてきた。そして、CSR方針をひろく公開するとともに、サプライヤの労務状況等を定期的にモニタリングすることが重要だ。

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