調達原論2【22回目一歩進んだ調達業務改善】CSR調達と実践

調達・購買担当者が、サプライヤの営業パーソンや社長に「おたくは製品の検査偽装などしていませんか」と訊いたら、きっと「していません」と答えるだろう。おなじく「おたくの従業員を不正に過重労働させていませんか」と訊いたら「させていません」と答えるだろう。会社の調査とは、つまり、結論がわかっている。問題がない、という結論だ。

調達・購買側からすると、サプライヤの不正をどのように防ぐことができるだろうか。もちろん日々の活動のなかで高潔さを求めるのは当然だ。くわえて、有効なのは、次の二つだ。抜き打ち工場監査の実施と、内部告発の窓口を設けることだ。

たとえば調達・購買担当者がサプライヤの工場に訪問するとき。多くのサプライヤ工場では、前日に工程の清掃をしたり、きれいに工具を整えたりする。しかしひごろの5S状況はわからない。しかし、突然の訪問なら備える時間がないため実態を把握できる。5Sは喩えで、その他、製品検査の実態、労務実態……。契約条件としても、工場監査を無条件に認める旨、記載するケースがある。そして、内部告発の窓口とは、サプライヤの従業員が、ダイレクトに相談できる窓口のことだ。電話やメールアドレスを教え、匿名でも良い条件で、サプライヤ内部での不正をお伝えいただくものだ。

もちろんこれを逆に使うこともできる。自社の調達・購買行為において不正がなかったか第三者宛に知らせてもらう。この調達オンブズマン制度をとる外資系企業もある。私たちはつねに立派さを求められる時代にいる。

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