調達原論【30回目】ユーザーマネジメント

これまで調達・購買部門の仕事はサプライヤを「買い叩く」ことだった。ただ、自社の提示する仕様書が必要以上にハイスペックならば、それを是正する必要がある。内部の統制も望まれる。サプライヤではなく、内部のユーザー部門を統制することを、ユーザーコントロールという。調達・購買部門がサプライヤに見積書を依頼する前に内部で揉むべきは次だ。

  • 排他性の排除:排他性とは、型番やメーカー指定。また、型番やメーカーを指定していない場合であっても、なんらかの要因によって事実上、特定者(社)しか仕様を満たせない場合。既存取引先しか要求内容を理解できない場合
  • 非代替性の排除:非代替性とは、要件が必要以上に厳しく、取引先から代案が出せない場合。既存のものでは要件を満足できずカスタマイズする場合。
  • 不明瞭性の排除:不明瞭性とは、要件の5W2Hが不明なこと(完全でないこと)。曖昧なこと。主観的な言葉を用いていること。測定不可能な内容が書かれていること

もちろんこれらを排除したからといって、見積書が安価になるわけではない。しかし、適正な競争環境を構築するためにも意識しておきたい。ほとんどの場合、調達・購買部門に仕様書が届くころには、もう遅い。そこから仕様書を修正していては時間がないからだ。作成時点で調達・購買の意思を入れる必要がある。コツを教えよう。まずひたすら「面倒なひと」になることだ。無理難題を申し入れ続けていると、そのうち、のちに文句をいわれないように、事前に相談が届くはずだ。皮肉ではない。

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