調達原論3【34回目一リバースオークション】
34「リバースオークション」
ウェブアプリケーションとバイヤーのコスト低減対決
機械に負けてしまう人をバイヤーと呼んでも良いのでしょうか?
そんなことを最近考えています。
リバースオークションとは、一人の買い手(バイヤー)のもとに複数のサプライヤーが集い、他社よりも安値を提示し競うことで受注を目指すものです。今日では、リバースオークションといえば、多くの場合ウェブ上で実施されることが多く、またそのサービスベンダーも増加してきました。
リバースオークションとは、間接材を中心として広がってきました。それは、理由として
- サプライヤーの変更が容易であること
- サプライヤー数が多いこと
- 仕様が明確化できること
が挙げられました。つまり、製造業のがちがちなカスタム品は難しいかもしれないけれど、文房具等ならば取り組みやすいというわけです。ある程度のものであれば許容できるとすれば、それらのサプライヤーを集めて価格を叩けば、すぐに安くなります。もちろん、事前にサプライヤー選定や調達条件の明確化、ならびに勝利したサプライヤーには発注するという意思が必要です。
ただし、私はリバースオークションを完全肯定はしていません。単にプライス(=販売価格)を競わせるのではなく、コスト(=サプライヤーの原価)に入って根本的なコスト低減を成し遂げることこそ、バイヤーの仕事だと信じるからです。しかも、競わせるだけ競わせた価格は、どうせ長続きせず、両社を疲労させるだけの結果に終わらせるのではないか。また、「競わせればいい」という、その安易な発想こそが、調達・購買業務を甘んじさせる要因ではないかと思うからです。コスト低減に魔法の杖などありません。
しかし、です。
そのような否定的なことを書きつつも、リバースオークションをお伝えしたいのは、逆の意味でバイヤーを鼓舞したい理由もあるからです。たとえば、簡単に「リバースオークションを使っても安くならない」と言ってしまう人がいます。あなたは、本当に必死の査定で、現在の自分の買値がベストだと言いきれるでしょうか。あるいは、「リバースオークションを使うほど調達条件は単純じゃない」と言ってしまう人は、本当に自分が単にそれらをこれまで曖昧にし続けていたのではないか、と問いたい。
私の知人の言葉を引用するならば、「リバースオークションが使えない、と言ってしまうのは、単にその会社の調達条件が未熟なだけ」である可能性もある、という謙虚さくらいは持っておきたいのです。
機械に負けないためにも。