調達原論3【33回目一サプライヤーとの定期的事業方向確認】
33「サプライヤーとの定期的事業方向確認」
相互信頼は富の最大化をもたらす
片思いの結論は、いつだって哀しい結論かもしれません。
ここは「固定費と変動費」のおさらいです。固定費を回収するために、各サプライヤーは製品にそれを割賦して販売することを学びました。そして、その回収が進まなければ、どれだけ利益に影響を及ぼすかも理解いただけたはずです。
すなわち、固定費=人員増強・設備導入とは、想像以上にサプライヤーの命運を左右するものであり、一つの賭けにも似た意思決定の形ということができます。ただし、それを本当の「賭け」として宿命論のようにサプライヤーの利益を傍観しているわけにはいきません。
調達・購買部門は、戦略的癒着を結ぶサプライヤーとは、将来戦略を共有せねばなりません。それは、単に「仲良くする」という意味を超えて、両社の利益構造を合致させるという意味を持つのです。
簡単に考えてみてください。こちらがどのような事業戦略を描いているかを伝える、それに応じて必要となる設備をサプライヤーが導入する、あるいは必要となる研究を開始する。これ以上に効率的なことはありません。固定費を回収でき、利益を確保し、さらに次の展開に備えることができます。これこそが、情報の横通しにより、両社が共栄することの意味です。
私は常々、サプライヤーを「利益ゲームの参加者とみなす」のではなく「パートナーとみなす」ことを推奨してきました。また、それはバイヤー企業とサプライヤーが、おのおの得意な領域に特化し、お互いの力を借りながら利益の最大化を目指すということでもあります。
やや観念的ながら、説明に適しているのはゲーム理論です。