調達原論【16回目】海外調達の定量的効果測定

かつて1100社ほどに海外調達の状況についてアンケートをとったことがある。3年前であり、上場企業が中心だった。1品でもいいので海外サプライヤから直接調達している企業の率はわずか1割にすぎなかった。

これは海外サプライヤの製品を使用していない意味ではない。日本の商社を経由して調達しているのだ。海外調達を開始するときに、海外サプライヤを探して、品質チェックをして、工場監査をして……と考えるとかなり道のりは遠いように感じる。それでは、いま使用している海外製品を直接海外調達に切り替えたらどうだろう。それならば、手っ取り早い。

当然だが、価格は安価になる。このとき、あくまで概算をお許し頂きたいものの、商社のマージンは価格の約20%として試算すればいい。商社規模によって平均の粗利益率を詳しく調べたい場合は、法人企業統計が参考になる。つまり、100円のものは20円が粗利益と考えればいい。商社経由の場合は、詳細の見積書が出てこないのは常だが、これを目安に考えると商社中抜きのメリットがわかりやすい。2社の商社が介在するとかなり高くなる。

ただ私は単純な商社不要論者ではない。商社は契約代行機能がある。商社から調達すれば単に国内の企業間取引になる。しかし海外サプライヤと契約しようとすれば、雑多な業務量が加算される。とはいえ、海外サプライヤと直接的なやりとりをすることで、先端の情報が手に入るし、なによりも生産者から直接聞く内容は示唆に富んでいる。メリットとデメリットを比較して直接海外調達の実施可否を決めるべきだ。

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