調達原論【15回目】海外調達のメリットとデメリット
海外調達を開始する際、メリットとデメリットを比較する。代表的なものは、メリットとしては安価な製品を調達できること。そしてデメリットとしては品質や納期が安定しないことだ。これまではコストと品質のどちらを優先するかの闘いだった。しかし、このところ追加メリットとして最近は日本で生産できないものを海外調達によって購入するケースも多くなってきた。
ただ、とはいえ、言語の問題は大きいし、また製品を在庫としてもたねばならないケースもある。また、為替が変動してしまうと価格が上昇する。冷静に天秤にかけて海外調達を決めねばならない。そうしないと、海外調達のメリットは、調達担当者が英語でやりとりをする姿を周囲の社員に見せつけるくらいしかなくなるだろう。
ただ、為替はデメリットでもありメリットでもある。なぜかというと、全社として輸出入の通貨バランスを50%:50%にしておけば、リスクヘッジを図りうるからだ。たしかに調達側のみを見れば部品単価が上昇するように見えるものの、販売側がその分のメリットを享受できる。つまり海外調達とは、きわめて全社戦略的な位置づけなのである。
また、製品コストは大きく、材料と労務費だ。材料は世界のどこでもさほど変わらない。とくに、機械化が進み、労務比率が低くなっていく産業においては、ほんとうに海外調達の価格メリットがあるのか定期的に確認したほうがよい。生産場所に近いサプライヤを活用し、地元産業に利益を落とす代わりに協力を仰ぐ方法もある。製造業の世界においても戦略的地産地消がありうる。