調達原論【14回目】海外調達開始前に重要なこと

コスト削減を進めようと思うと、壁にぶつかるかもしれない。というのも、どうしても日本の人件費や経費は諸外国に高くなりがちで、コスト削減に限界があるからだ。だから、アジア企業に見積書を依頼しよう! と思うかもしれない。ただ、ちょっと待ったほうがいい。たいていの調達部門は、せいぜい半径50kmに在する取引先しか知らないのに、いきなり海外にいってしまうのだ。そこで、ハーフィンダールインデックスを紹介したい。

これはその調達品について、国内で寡占状態にあるのか、競争状態にあるのかを教えてくれる。もし寡占状態にあれば海外サプライヤ検索もやむなしだ。しかし競争状態にあるなら、まずは国内の代替サプライヤを探してみたい。

このハーフィンダールインデックスは、公正取引委員会が「累積生産集中度」として公開してくれている。学術的な説明は省くものの、この値が10000に近いと寡占状態にある。逆に0に近いほど競争状態にある。無料公開されているので、調べてみよう。意外なことに、多くの産業で10000には程遠い。つまり日本に代替サプライヤが居ることを示唆している。

これを応用したらどうだろう。自社の買い手としてのシェアと比較すれば良い。つまり、自社の調達力が強ければ交渉に有利だ。だから、自社の事業領域のハーフィンダールインデックスを調査し、それをサプライヤ業界のハーフィンダールインデックスから引けばいい。これを交渉係数と呼ぶ。

サプライヤ業界が10000に近く、自社業界が0に近ければ、計算結果は≒10000で売り手に優位だ。しかし▲10000なら買い手が有利だろう。

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