調達原論3【37回目一BPO・アウトソーシング】

37「BPO・アウトソーシング」

不要なのはあなたか、あなたの仕事か 

 

BPOとは、Business Process Outsourcingの略で、企業における業務プロセスの一部を外部に委託することをさします、総務や給与計算にかかわる業務から、お客様窓口の対応まで、さまざまな種類のBPOがさかんになってきました。

調達・購買部門の業務は価格交渉や契約に携わることから、機密の観点より、ある種の「聖域」とされてきました。ところが、昨今、コスト低減を目的とするのみならず、「固定費(人員)の変動費化」の狙いからも、間接材を中心とする調達・購買業務にもこの波が押し寄せています。

調達・購買部門の全体を委託するという形態ではなく、まず発注先集約として、特定の業者が注文を請け負い、そこが商社のような機能を発揮し必要部材を納入するという形式をとることが多く見られます。

商社と異なるのは、BPO業者が調達・購買部門の立場にたった調達活動を行うことです。業者によっては、毎期部材を競合させ、その結果選定されたサプライヤーのカタログをweb上にアップロード(これを電子カタログメンテナンスと呼びます)するサービスを実施したり同一サプライヤーであっても毎期のコスト低減を価格に反映してくれたりと、多岐にわたります。

BPOベンダーが目指しているのは、各企業の調達・購買部門の部分を代替することであり、それは直接材の領域にも侵食しようとしているのです。特に、不景気時には、組織構造の見直し、業務プロセスの効率化が求められるため、各社とも調達BPOを検討の一つとしてあげています。

この潮流に対して、調達・購買部門から出ている意見は、機密情報を扱うために、BPO化はできないであろうという楽観論と、どうせまともなコスト低減を実現できていないから、BPO化してしまったほうが良いという自虐論です。

私はその両方に与しません。

必要なのは、BPO化の良いところを学び、活用し、それと同時に調達・購買部員しか成し遂げ得ない利点を生かした「良いところ取り」にほかなりません。

例えば、見た目の製品「プライス」を下げるのではなく、設計部門とともに、仕様・技術・生産面までを考慮し製品「コスト」までも切り込むことは、現場のバイヤーにしかできないことです。あるいは、長期的な企業戦略から、調達戦略を作りこみ短期にとらわれないサプライヤー選定を実施することも求められるでしょう。

BPOは「対岸」の火事ではありません。押し寄せるBPOの波と「対顔」し、新たなバイヤー像に「大願」を抱くことこそ必要なのです。

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