調達原論2【25回目一歩進んだ調達業務改善】これからのバイヤー

業界の垣根がなくなりつつある。自動運転、IoT、AIが登場し、自動車メーカーと電機メーカー、ITの境目が溶けていく。これからのバイヤーは、その超越時代に生き残る多動さが必要だ。旧来のバイヤーを私は「赤えんぴつバイヤー」と呼ぶ。職場にひきこもり、サプライヤの見積書を偉そうに赤えんぴつで査定するだけ。しかし白紙を前に自分の意見をいえない。

たいして「黒えんぴつバイヤー」はあざやかに飛び回り、知的かつ論理的におのれの考えを説き、社内外を動かす。そして次は、「黒えんぴつバイヤー2.0」ともいうべき姿ではないか。2.0では現場のデータを集め、それによりAIを活用し新たな理論を作り出す。そして、冒頭で述べたように、調達品が一つの業界にとどまらなくなるなか、業界をも超越し、新たなアイディアを創出する。つねに社内に先端の動向を伝え、危機感を醸成する。

AI時代の到来とは、労働者不要の時代でもある。そのときに何を付加価値として提供できるか。それが問われている。変化を拒むことと、なあなあで済ませる雰囲気こそ、調達・購買部員が一貫して闘わねばならない対象ではなかったか。日本の製造業で働く調達・購買部員は、世界じゅうの同業者にくらべて、はるかに現場情報をもち、サプライヤと多く接し、製品仕様にも明るい。ビッグ(BIG)データではなく、ディグ(DIG)データをもっている。ビッグデータ×AIでは欧米に負けても、ディグデータ×AIならば勝算はある。品質、価格……。現場・現実・現物から得られる情報から将来を予想する。調達・購買の可能性を、そのようにしか、もはや私は信じることができない。

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