調達原稿3【1回目一商品企画】

1「商品企画」

企業の愛の結晶としての商品開発 

 

一つの命がささやかな形をもってこの世に登場するとき、そこには愛の、奇跡ともいえるような結晶を起点としています。

命――、それは製造業にとっては製品であり、製品にこめた意思に似たものです。

市場に新たな製品を投入することで、新たな価値を創出すること、お客の歓喜と利便性の向上による効用をもたらすこと、そして、経済的な利益を得ること――。これらを製造業に属するすべての社員は目指しています。

調達・購買とは、自社製品に組み込む材料や部品、あるいはソフト・外注など、社外の力を活用することで、それらの目的を達成するために一丸となる部門です。バイヤーはその部門の一員として、全力を注いでいきましょう。

商品企画は、全社方針を受け、市場の情報を入手し、商品企画部門や営業部門が先導していきます。「今後必要とされる製品は何か?」「これまでの製品をどう改善すればよいか」「新たな価値をもたらすことができる製品は何か?」。

そのような自問から、製品を企画し、社内議論を重ねることにより、それが設計部門に提示されます。そこからさらに、生産部門や調達・購買部門を交えることによって、具体的な仕様が煮詰められていくのです。

商品企画には二つのスタイルがあり、

  1. マーケットイン
  2. プロダクトアウト

の二つです。

前者は簡単にいえば「市場の声をできるだけ聞いて、売れそうなものを開発しよう」というもので、後者は「これまでにない製品を開発することで、新たな市場を開拓しよう」といえます。前者は、これまでのデータや現在のデータを利用することで、できるだけ不確実性を排除しようとするものです。後者は、それらを無視するわけではありませんが、その先にお客が深層的には欲しているにもかかわらず、これまで製品化されていないものを予想し自社の製品をもって代えようとするものです。

これらは完全に分離しているわけではなく、またどちらが優れているというものでもありません。その企業の経営理念から反映されていくものです。ただ、利益優先で、かつあまり失敗ができない環境のなかでは前者がより優先されがちになるでしょう。

商品企画は企業によってばらつきがあるため、調達・購買部門が商品企画会議のような場にまったく呼ばれない場合があります。そういう企業では、バイヤーは、そもそもどのような顧客ニーズや不満があったために新製品開発を実施するのかがわからないのです。

これは、調達・購買部門にも情報を提示するように社内に依頼していかねばなりません。ただ、それと同時に、バイヤー側の問題もあります。それは、そもそもバイヤーがそのような「製品の出生の秘密」に疑問を持たず、社内に訊いていないことがほとんどだからです。もったいない。すぐに調達・購買部門もバイヤーも、上流に介入していきましょう。

商品企画にバイヤーが出ることは、三つの効果を期待するためです。

  1. サプライヤーに対して、製品単体ではなく、それが組み込まれた最終製品の 市場評価をフィードバックしてあげることで、次回以降は全体最適の提案が出てきやすくなる(対サプライヤーにおける効果)
  2. 市場での評判を理解することで、それ以降の調達活動に活かすことができる。 バイヤーがVA案を検討しやすくなる(バイヤーにおける効果)
  3. 設計・営業部門という参加メンバーでは、固定観念にとらわれがちである商品企画にブレークスルーを与えることができる(対社内に対する効果)

それに、商品の企画段階に携わることは、理由抜きで愉しいものです。商品の企画から関わっていれば、それ以降の調達・購買活動にも大きなモチベーションを持つこともできるはずです。親が子のことを常に気にしてしまうように、バイヤーはその製品と真摯に向き合うことができます。

企画に参画し、何かが生まれるときの奇跡に立会う――。

こうやって、調達・購買の長い道程がはじまります。

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