調達原論3【19回目一RFQ(Request for quotation:見積り依頼)】

19「RFQ(Request for quotation:見積り依頼)」

RFQは進化する 

 

RFQとは見積りを依頼するために使われます。仕様や取引条件、最低ロット数や目標価格など、見積り時に考慮してほしい内容を謳うものです。見積り提示の時期を定め、複数社にまたがる場合は、提示された見積りと条件を比較検討して、その後のサプライヤー決定に使用します。

「賢者は歴史から学び、愚者は経験から学ぶ」と言います。経験からしか学べないのは愚かだ、自身が失敗しないでも、先人たちがすでに失敗してくれているではないか。

ただ、残念なのは皆が賢者ではないことと、その発言に至る場合も、たいていは失敗を重ねてきた果てだからです。

しかし、あるバイヤーは常に思惑と異なる見積りを入手し続け、そこから底なしの交渉に突入していきます。ITの進歩によって、RFx自体が簡単で手軽になってきたからでしょうか。今では、メールで「○日までに、添付の仕様でお見積りをご提出ください」とだけ書いて送るバイヤーが多くなってきました。それで届いた見積りが「高い、高い」と騒いでいる。

この世の中で正しいのは、「同じことをやっていれば、失敗は続いていく」ということです。自分が変わらなければ、相手が変わることはありません。祈っただけで状況が一変するということはないのです。

提示されるコストがいつも高いならば、最初から目標コストを記載しておけばどうですか? 良心のあるサプライヤーであれば、提示の事前に相談してくれるはずです。今の仕様で無理なら、コスト低減のアイディアを提示してくれるでしょう。

いつもサプライヤーがロット条件を無視して見積りをしてくるのであれば「ロット条件は絶対であり、そのコストを提示すること」と書いておけばどうですか? いつも指示した仕様とは異なる仕様で見積りされるのであれば、「この通りの仕様の価格を絶対とし、自社最適な仕様がある場合は見積り書を二通り提示すること」と書けばどうですか? 想いと想いが乖離することを同床異夢と呼びます。あなたとサプライヤーは、違う夢を見てはいないでしょうか。

そんな簡単なこと、とお思いでしょうか。失敗とはさほど多くの種類はありません。技術伝承の欠如を憂慮されるこの時代、先人たちの失敗を学ぶ機会がないのであれば、せめて自分の経験からは学ぶべきです。愚直に条件を日々書き換えていけば、そのうち、RFQはあなたのノウハウでいっぱいになります。

そう、RFQとは静的なものではなく、あなたの成長を反映する、動的なものなのです。

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